平田オリザ氏講演会を行いました

2016年3月20日に、「演劇が人を育てるということ」と題した平田オリザ先生の講演会をうきは市民センターで行いました。
嫩葉会の活動を、宮沢賢治など大正期に見られる農民の文化活動に寄せ、地方都市における街づくりはどうあるべきかについて、多くの事例や考察を交えながらお話しいただきました。たいへん充実した内容で、参加者はそれぞれの自分の生活に重ねながら多くの示唆を受け、同時に勇気づけられていました。
平田先生のお話は、以下のような内容でした。

□自己紹介
・劇作家、演出家をするのが一番の仕事で、いろいろな国の人とも作品を作ったりしている。また、戯曲が翻訳されて世界中で演じられている。
・大阪大学で教員をしている関係で、マツコロイドを作ったことで有名な石黒博先生とロボット演劇を作っている。
・小学校、中学校の国語の教科書を作る仕事をしていて、年間30校くらい授業を実施している。

□宮沢賢治の「農民藝術概論綱要」から
・宮沢賢治は「職業芸術家は一度亡びねばならぬ 誰人もみな芸術家たる感受をなせ 個性の優れる方面に於て各々止むなき表現をなせ 然もめいめいそのときどきの芸術家である」と、農民一人ひとりが芸術家にならなくてはならないということを書いている。
・これは1926年に書かれたものだが、それに先立つこと3年、1923年に嫩葉会が生まれている。たいへん先駆的な活動だった。大正の時代にこういった農民の芸術活動が広がっていることについて考えていきたい。

□社会における芸術の役割(アートマネージメント)
・1)芸術そのものの役割:芸術そのものには心を慰めたり、励ましたり、勇気づけたり、死や病に立ち向かわせたり、あるいは親しい人の死を乗り越えさせたりする役割がある。これらはずっと先の時代にも影響するものであり、今停止すると、先の時代で困ることになる。
・2)コミュニティ形成や、維持のための役割:どんな未開の集落に行ってもお祭りとか芸能とか概して演劇の起源と考えられるものが存在しており、人類の営みとともに生まれている。東日本大震災後、地域芸能が復活したところほど合意形成が早かった。ただし、現代の生活に合ったものでないと継続しない。
・3)教育・観光・経済・福祉・医療など、直接社会に役に立つ役割:目に見えて役立つもの。最近では認知症の予防にダンスや音楽が用いられている。
・このうち、3)ははっきりと直近でやらなくてはならないもの、2)は10年、20年単位で地域として取り組まなければならないもの、1)は人類のためにやらなければならないもの。各自治体は予算が限られているので、バランスよくやっていく必要がある。

□いま、地方都市に起きていること
・地方都市の風景が画一化している。国道があって、バイパスがあって、バイパスの脇に大きなショッピングセンターができて、中心市街地はどんどんどんどん寂れている。しかしショッピングセンターは「無邪気に出店し、無邪気に退店する」。退店すると何も残らなくなる。
・どんな地方にいても利便性を享受できるようになったが、それと引き換えに鎮守の森のような空間や、伝統芸能や神話を継承する時間を失ってきたのではないか。
・床屋、銭湯、駄菓子屋はかつてコミュニティスペースであったが、地方の商店街では真っ先になくなっていく。これらは情報ステーションであり、子どもたちの見守り機能、すなわち無意識のセーフティネットとして機能していた。

□市場原理は辺境ほど荒々しく働く
・市場原理に従うと、辺境ほど、在庫のコストと流通のコストがかかるので、売れるものしか置かなくなり、即効性のない文化的なものは手に入れられない。
・”売れるもの+売れなくても文化を育むもの”で成立していた商店街の店舗は、”売れるもの”を中央資本に奪われており、文化を育んできた小さな店舗が成立しなくなっている。
・図書館のように公共が守らないと、売れないものは失われる一方となっている。

□若者の居場所を作りにくい地方都市
・地方都市ほど若者の居場所が固定化して閉塞化している。
・地方都市の土着性が「成功の筋道は一つで、そこから外れてしまうとなかなか元に戻れない」という構図を生み出しがち。

□教育にも地方間格差が生まれていく
・東京のエリート校では、一流大学に何人入ったかではなく、大学に入ってからも学びのモチベーションが持続するような授業をする、ということを売りにし始めている。
・大学入試改革でも、そのことを測る試験に切り替えようとしている。
・これからの大学入試は、レゴで巨大な艦船をつくる、ディスカッションドラマをつくる、など、共同作業における役割分担や各人の能力が問われる試験になっていく。単なるロジカルシンキング、単なるクリティカルシンキングではなく、どんな状況に置かれてもちゃんと能力が発揮できるかという試験が行われていく。
・簡単に検索できる現代では知識の量だけを問うても意味がない。大学では学びの共同体を作る場所であり、その中での役割が求められる。

□共に学ぶ仲間を選ぶための試験で求められるのは個人の持つ文化資本
・今の言葉で言うと、地頭(じあたま)を問うような試験であり、長い準備期間を要することになる。
・これらの文化資本を育てるためには本物に触れさせるしかないが、文化に触れる環境という意味では、東京は圧倒的に有利。かなり地域間格差がある。

□街づくりの失敗が犯罪を誘発し、社会不適応を生む
・渋谷の例、また少年犯罪の事例をみても、若者や社会的弱者の居場所を作らなかったことで、街をスラム化し、犯罪を誘発していることがわかる。
・子どもに学校以外の居場所がないために、学校での関係がすべてになってしまっている。
・重層性のない社会は大人にも子どもにも生きづらい、息苦しい社会である。

□新しい広場をつくること、そしてそこではたくさんのメニューが必要
・現代社会に合った、市場原理ともどうにかして折り合いのつく、新しい広場を作っていくことが必要。劇場、音楽ホール、スポーツ施設、図書館など、各人が立ち寄りやすい施設が新しい広場になっていく。
・そこでは「居場所と出番」という関係をつくり、社会参加を促していく。価値観が多様化している現代では、たくさんのメニューを用意する必要がある。
・経済活動からすると出会うはずのない人を出合わせる仕掛けをつくることが大事。

□社会包摂:一人ひとりが社会とつながっていることが社会のリスクやコストを減らす
・引きこもりや孤独死に見られるように、人が孤立していくと、社会的なリスクやコストが増えることになる。
・アクセスしやすい文化資源を提供することで社会とつながりやすくなる。

□緩やかにつながる新たな共同体-関心共同体-の必要性
・現代は、これまでの地縁血縁による共同体(ゲマインシャフト)、企業などの利益共同体(ゲゼルシャフト)では繋がりを維持できなくなっている。
・趣味や関心によって繋がっている緩やかな共同体をもう1個作ることで、安全弁になる。

□地域の観光資源としての文化の活用
・観光は、リピーターを生む同心円状の集客を目指すことがカギとなる。ディズニーランド、大阪の天神橋筋商店街のように地域の人がリピーターになっている所が成功している。
・人々の興味はお金をかける博覧会ではなく、参加型の博覧会へ、そして博覧会から芸術祭に移行している。瀬戸内国際芸術祭のように国際性と地域性を両立させている所が成功している。
・金沢21世紀美術館やウイーンのように、ナイトライフが健全で楽しめるものを用意すると、宿泊につながる。
・1回見れば終わり、にしないためには参加型のメニューをたくさん用意する。青森の「はっち」はとても成功している事例。
・まちなかにあり、文化施設を含む複合施設になっていると、皆がアクセスしやすく、家族もそれぞれが楽しめるものになる。
・アーティスト・イン・レジデンスといって、芸術家の宿泊施設を整備することで世界中のアーティストが訪れている、城崎アートセンターのような事例もある。

□観光資源を生み出す人材の育成が重要
・ラベンダー畑による集客を参加体験型のアイテムによってリピートにつなげた富良野は、そのようなアイテムを生み出すことこそが重要だと知っている。
・ブランドイメージの確立が経済的な余裕を生み、人材育成に投資するという好循環をうんでいる。

□文化の自己決定能力がないと街づくりに失敗する
・自分たちの文化を見極められず、中央のディベロッパー任せにしたために、巨額の負債を負った自治体も存在する。
・文化資本の差によって、グローバル資本は地方から収奪していく。
・文化の自己決定能力を育てるのは個人の文化資本であり、ソフトの地産地消を実現するために、付加価値を生み出す人材の育成が必要。
・公共事業が地域を潤す時代ではない。また、投資に責任を持つという意味で、自分たちの身銭を切る覚悟も必要。

□大正デモクラシーは、江戸時代の中央集権に地域が気づいた時代
・宮沢賢治はこうも書いている「かつて我らの師父たちは、貧しいながらかなり楽しく生きていた。そこには芸術も宗教もあった。今や我らにはただ労働や生存があるばかりである。宗教は疲れて近代科学に置換され、しかも科学は冷たく暗い」。
・大正時代、米本位制によって貧しさを強いられた東北に代表されるような、中央集権が生んだ社会の疲弊に気づき始めた。
・宮沢賢治をはじめとする当時の地方文化人は、その中で感じた希望や絶望の中から、文化の自己決定能力を農民たちが持たない限り、本当の意味で農民の幸せはないと考えたのではないか。そのため全国に同時多発的にこのような農民の文化活動が生まれたのではないか。
・うきは市が持っているこの貴重な文化遺産を活かし、これをもう一度現代に合った形で再興していくことが、これからの街づくりには重要。

質疑
Q)ロボットのような感情も意思もないものに、どうやって演出するのか。
A)日頃から人間の俳優にも、具体的な指示を出していたので、手法は同じだった。

Q)建築をつくることにも社会的な意義はみられるのか、また、演劇の専門家なのにまちづくりに関わられているのはなぜか。
A)街づくりや人口減少対策では出会いの仕掛けを作ることが大事だと思っており、そのための場所を作ることは建築や都市計画の問題でもあると思っている。これは演劇を専門としているために、人と人との関わりを重要視する傾向があるためで、後の質問にもつながるかと思う。また、演出家は舞台の上だけでなく、その前後の空間まで考えている。空間をデザインする仕事という点では建築家も演出家も似たような作業をしている。あとは、たまたまこうなっているとしか言いようがない。

Q)地方にいても若者が夢を実現できる仕組みがつくれないだろうか。
A)Iターン者が多い地方都市では、アートによって人を引き付けている事例が多くみられる。アートが盛んなところは、開かれていて寛容だというイメージがあり、都市民が移住しやすい。雇用がないから若者が地方に住まない、と思われがちだが、雇用だけがあっても魅力的でない街には住みたがらない。雇用は必要だが、それだけではなく、夢を持てる魅力的なものを作る必要がある。また東京標準を目指していると、東京がいい、ということになり、出て行ってしまう。世界を相手にする街を作っていけるかが生き残れるかの分かれ目になるだろう。

-以上-

 

棚田まなび隊2016 隊員募集のお知らせ

棚田まなび隊では、地元の方に農業について教わりながら棚田の仕組みや稲作の知恵と知識を学ぶ、という活動を行います。
浮羽の棚田のことや、1年を通したお米づくりについて、私たちと一緒に学びませんか。

日々の活動、連絡についてはフェイスブックで報告しています。
FB-fLogo-printpackaging

←こちら

応募資格
田んぼや稲作について学ぶ意欲のあること、一緒に知恵を出し合い汗をかけること。地元の農家の方々に指導してもらいますので、まったくの初心者でも構いません。

会費 〔保険料、農機具賃料等を含みます〕
大人: 4000円/人
学生: 2000円/人

ビジター:1000円/回

活動日
以下を予定しています。天候や生育状態により変更する場合があります。

内容
第1回 417田起こし・草刈り
 4(24)予備日
第2回 51竹樋づくり・ソーメン流し
第3回 515代掻きor畦塗り
第4回 522田植え
第5回 65草取り
第6回 619草取り
第7回 73草取り・電柵設置
第8回 724草取り
第9回 87草取り・畑の収穫祭
第10回 828草取り・竹伐り出し
第11回 925稲刈り・掛け干し
第12回1016←15脱穀
第13回116←13収穫祭

活動時間
毎回10:00〜15:00

集合場所
つづら棚田駐車場(福岡県うきは市浮羽町新川つづら)

その他
・農作業ができる服装で来てください。長そでシャツ、長ズボン、長靴、農作業用手袋、帽子などがおすすめです。農作業道具はこちらで用意いたします。
・お子さんの参加も可能ですが、農作業には危険を伴う場合がありますので、必ず保護者が監督してください。
・参加者全員を対象に、活動団体で傷害保険に加入します。
・現地までの交通費、食費は自己負担です。必要に応じて昼食をご持参ください。
・活動の連絡は、浮羽まるごと博物館ホームページ、Eメールで行います。
・天候や稲の生育状態により、日程や活動内容を変更する場合があります。あらかじめご了承ください。
・取れたお米は、会費に応じて分配します。(※ビジターへの分配はありません)
・活動への申し込みで収集した個人情報は、棚田まなび隊活動の連絡および傷害保険への加入のためのみに使用し、それ以外の目的には使用しません。
・活動時の写真及び映像は、ホームページや広報物等に掲載することがあります。お望みでない場合はあらかじめお申し出ください。

申込み方法
以下に記入の上、送信してください。
うまく送信できない場合は、お手数ですが以下へメール送信お願いいたします。 ukiha.maruhaku@gmail.com

    お名前(必須)

    メールアドレス(必須)

    住所〒

    都道府県

    市町村以下

    自宅電話番号

    携帯番号(必須)

    参加区分
    隊員ビジター

    最初の参加日(ビジターの方は参加希望日・必須)

    メッセージ

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    手続き等
    お申込みいただいた方には2日以内に返信のメールを差し上げます。メールが届かない場合はご連絡ください。

    お問合せ
    浮羽まるごと博物館ホームページお問合せフォームでお問合わせください。

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    永川優樹氏講演会を行いました

    2016年1月23日に、「地方創生とPR動画」〜動画で地方を活性化できるのか?実例からみる課題と可能性〜と題した永川優樹氏の講演会をうきは市民センターで行いました。
    ご当地PR動画の現状、また自らの体験を通じた動画についてのノウハウを惜しげもなくお話しいただきました。
    永川優樹さんのお話は、以下のような内容でした。

    □自治体PR動画戦国時代
    ・2015年、国は地方創生というテーマを掲げて、さまざまな施策を行った。私たち生活者の目につく所では、プレミアム商品券、移住促進、PR動画などが記憶に残っているのではないかと思う。
    ・ご当地PR動画が一般的になったのは、Yahoo!の「映像トピックス」というコーナー。ここでは2015年に話題になり、視聴が多かった動画のベスト100が総合ランキングになっているが、この中でも、ご当地PR動画は1つのジャンルとして確立している。
    Yahoo!映像トピックスアワード2015←クリック
    ・こういうPR動画は、テレビなどでは流さずに、ネットだけで公開して、ネットの口コミを利用して爆発的な現象、いわゆる“バズ”を起こして、ネットの中で話題にする。ネットの中で話題になったものがテレビでも取り上げられて、マスメディアでも紹介される、という手法を使っている。

    □自治体PR動画の財源は税金
    ・自治体PR動画の予算は数千万円に上るものもある。源泉は「まち・ひと・しごと創生事業費」、いわゆる地方創生予算。1兆円を国が用立てて、それを各地方に補助金という形で交付している。もちろんPR動画だけではなくプレミアムクーポン券や、移住促進の施策なども含まれている。
    ・PR動画については、自治体は自分たちの予算は出さずに、ほぼ100%国が出す、いわゆる10割補助で実施されているケースがほとんどのようだ。

    □PR動画の効果はあるのか?
    ・そうやってかなり高額な税金が投入されたPR動画が、どのくらい効果があったのかということが一番注目されるべきところだと思うが、これについては測りようがなく、わからない。
    ・PR動画で話題になったある市の場合、単にインバウンドや観光促進のためのPR動画ではなく、移住促進が目的だった。ところが面白いねと話題になった、というだけでは、そこにつながらない。移住したいなと思わせるためには全く別のコミュニケーションが必要になってくる。
    ・広告費換算だと数億円に相当するという言われ方もする。これはテレビで露出された時間や、新聞記事の面積を、もしこれだけのボリュームの広告を定価で打つ場合いくらかかるのかという計算をした額だということ。しかし露出が必ずしも効果的とも限らないため、これにはほとんど意味がない。

    □話題をつくるというだけなら割と簡単
    ・話題にはなったが本来の目的が達成されたか疑問という意味では、民間の作った動画でも同様に、数百万回以上再生されているが、何のコマーシャルだったかわからない、というものが多く存在している。企業はとにかく話題性を求めているので、“バズらせる”ことを条件に入れたり、広告代理店も何とか話題にしないといけないということで無理をしがち。
    ・最近、民間の動画で話題になったものがあるが、これらには元ネタがあることが多い。もともとYouTubeの中ですでに人気のあるジャンルがあり、このテーマで撮れば必ず100万回は再生されるだろう、固いだろう、というようなものを利用している。

    □誰も得をしていないPR動画の現状
    ・自治体は、その効果が明らかでないPR動画に数千万円という大きな予算を投入しているが、一方で消えていく民族芸能などについては何も対応していない。
    ・限界集落、消滅自治体という言葉が話題になっているが、何かのきっかけで再び人が集まり出した場合、その地域を地域たらしめていたような地域資源を復活させようと思っても、記録がなくてできなかったりする。形の残らない民族芸能などについては、記録資料を残すために少しでも予算を割くことを考えるべきではないだろうか。
    ・自分が関わった動画について、おかげで観光客が増えた、とお礼を言われた。しかし、本当に自分の動画が寄与したかどうかは疑わしい。また、費用対効果としてもどうなのか、反省を含めて疑問が残っている。
    ・受注業者が得していると思うかもしれないが、地方に人を出してかかりっきりになると、予算としては厳しい場合が多い。普通の業者から普通の広告発注を受けてこなしていた方が収益は高く、いわゆる骨折り損という状況。
    ・だれも得してない中で、損しているのは納税者。あまり過熱しないように、オリンピックスタジアムについて厳しい目で見ているように、見ていった方がいいのではないか。

    □映像コンテンツによる地方活性化は可能か-軍艦島アーカイブスの事例から
    ・昨年関わった軍艦島アーカイブスというプロジェクトでは、こういう手法ならば本当の地域活性化につなげることができるかもしれないと感じた。西日本新聞に提案して採用された、軍艦島をドローンで4Kで撮って見せる、というプロジェクト。
    軍艦島アーカイブス←クリック
    ・少ない予算だったが、フェイスブックを通じて話題が広がり、メディアでも多く取り上げられた。またクラウドファンディングによって資金を集めることができ、ブルーレイの製作も可能になった。
    ・プロジェクトを通じて感じたことは、その中にあるストーリーを感じさせること、またファンとのコミュニケーションが大事だということ。

    □浮羽の資産の活用
    ・浮羽の棚田まなび隊のプロジェクトの素晴らしいところは、見ていて「これは応援したいな」という気持ちが強く出てくる、ということ。また、棚田で米を作っているので、支援してくれる人にお米というお返しも同時にできる。軍艦島アーカイブスでやった枠組みに近い要素を兼ね備えているな、ということを感じた。
    棚田まなび隊記録←クリック
    ・動画や、様々なコミュニケーションツールを賢く活用して、地域振興につなげてほしい。

    -以上-

    棚田まなび隊2015第6回活動

    10月4日,秋の爽やかな気候のもと棚田まなび隊6回目の活動が行われました。この日はまなび隊の正規メンバーに4名の参加者を加えて26名のサポーターと,4名の地元農家の方々,総勢30名が集まりました。皆が待ちわびていた稲刈りの日です。
    全部で20枚ほどの棚田のうち1枚の田んぼだけ手刈りで,他の田んぼはコンバイン2台を使って収穫していくことにしました。毎回,指導役をしてくださる地元の諌山さんが,この日も丁寧に手刈りチームとコンバイン補助チームへそれぞれ作業のポイントを指導してくださいました。
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    ▲手刈りの田んぼにて。元農業指導員,諌山さんの説明はいつも明快です。

    水はけが悪くコンバインが入れない田んぼがあったため,1枚目を刈り終えた後もう1枚手刈りをすることになりました。人手は多かったものの,手刈りはやはり時間のかかる作業です。コンバイン補助チームは,機械が刈りにくい隅部分や刈り残し部分の手刈り,米袋の交換と設置をしました。2時間ほどの作業の後,稲を刈って生まれた広いスペースで昼食を取りました。
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    ▲2枚目の田んぼの手刈りチーム。泥に足を取られながらも稲を刈っていきます。
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    ▲いっぱいになった米袋を取り替えます。1袋で25kgほどの重さになります。
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    ▲天気が良かったため,乾いた藁の上に直接座って昼食をとる人もいました。

    午後,残り10枚ほどの田んぼをコンバインで刈っていきました。山に近い棚田にはイノシシが入って多くの稲が倒されていました。地元の方々も,どこから侵入されていたのか分からなかったそうです。最後は手刈りチームも加わり,総動員で稲を刈り終えることができました。
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    ▲約30aの田んぼから,今回は約300kgのお米が取れました。

    去年までの耕作者がご高齢となり,今年の春から米川更生さんをはじめとする地域の方々がここ分田での耕作を引き継ぐことになって半年が経ちましたが,慣れない土地でイノシシやいもち病の被害にいつも頭を悩ませていらっしゃいました。収穫量は,よくできた場合の6割ほどになる見込みとのことですが,こうしてなんとか稲刈りの日を迎えることができ,皆さんのほっとした様子が伺えました。

    文:前野眞平
    写真:九州大学菊地研究室

    農小屋に壁を取り付けました(棚田まなび隊2015番外編)

    9月13日、棚田まなび隊が農小屋の壁付け作業を行いました。正式な活動日ではありませんでしたが、有志7名が朝10時に集まりました。
    まなび隊は、活動する棚田に農小屋を建て、荷物を置いたりして自分たちの活動拠点としています。今年は分田に建てました。
    今年は壁材に竹を使用しました。地域の方から真竹と孟宗竹を譲っていただき、真竹は伝統的な加工法である「シャギ竹」にしました。シャギ竹の加工は地域の竹材店の方に教わり、事前に済ませていました。直径100ミリ程度の竹を半分に割り、ノミなどで節を落とした後、木槌で節を叩きつぶして平らにします。さらにできたものを火で炙り、艶出しをしました。
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    ▲木槌で竹を叩く様子。平らになるまでに繰り返し叩くため、力が要ります。(8月27日撮影)
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    ▲コンロで竹を炙る様子。炙ることで竹の油分が染み出て汚れが落ち、艶が出ます。(9月12日撮影)

    この日は、こうして事前に作成したシャギ竹をはり付けていきました。ドライバーを使ってシャギ竹に釘を通すための穴をあけ、農小屋のパネルに打ち付けていきます。一般的にシャギ竹は縦向きに使いますが、農小屋では横向きに使うことで、パネルの寸法に合わせて竹を予め切り出したり、パネルに直接打ち付けることができたりして、施工がしやすくなりました。また、竹は一つ一つ幅や太さが異なるので、ずれや隙間が大きくならないように気を付けながら、全体のバランスをみて微調整を重ねました。下半分をシャギ竹で覆い、上半分は細かく割った孟宗竹をはりました。棚なども取り付け、15時ごろに作業を終えました。
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    ▲シャギ竹に穴をあける様子。両端の穴をあける位置を少しずらすことで、壁にはり付けた際に割れにくいようにします。
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    ▲壁材をはり付けた農小屋。この後あいている部分に窓を取り付けて完成予定です。

    文:佐々木悠理
    写真:九州大学菊地研究室

    棚田まなび隊2015第5回活動

    8月30日、まなび隊の今年5回目の活動が行われました。15名の隊員が10時に集まり,畦の草刈りと石垣の草取りを実施しました。
    この地域では,9月下旬になると畦に生えた彼岸花が一斉に花を咲かせます。年に1回の美しい風景を地域住民や訪問者に楽しんでもらうため,草刈り機を使って念入りに畦道の草を刈っていきます。
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    ▲畦の草刈りの様子。畦の下にはたくさんの球根があります。

    一方,石垣の隙間から生える雑草は草刈り機だけではなかなか取り除けないため,鎌と手を使って丁寧に作業を進めていきました。
    毎年この時期に多くの観光客が訪れるつづら棚田でも,綺麗な風景を生むためにはこの草刈りが欠かせません。ちょうど同じ日に,地元の人々がつづら棚田で草刈りをしていました。マムシに気をつけながら,少しずつ作業を進めていきます。
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    ▲一面を雑草に覆われていた石垣が,2時間ほどで姿を現しました。

    午後は,田んぼとして利用していない土地を使ってジャガイモを植えました。
    水はけ等が少し心配ですが,温暖な地域では比較的早く11月に収穫ができるそうです。
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    ▲大きな実が育つ品種のニシユタカ。1キロの種芋を植え付けました。

    ジャガイモがうまく実ることを祈りながら,この日の活動は14時ごろに終了しました。

    文:前野眞平
    写真:九州大学菊地研究室