棚田まなび隊の第5回作業を行いました。

5月18日に、棚田まなび隊の第5回目の農作業が行われました。今回は、灌漑用水路「イデ」を掃除・点検する「イデ浚い」の作業に、まなび隊メンバーも参加させていただきました。

朝8時に、農家の方々8名、隊員16名が集まりました。作業に取り掛かる前にまず、熊抱さんより、イデは複雑な地形に沿って引かれているため足元に気をつけること、草刈り機を使っている人とは一定の距離を置くこと、この時期はマムシが多いので注意することなど、イデ浚いをする上での注意事項について話がありました。

農家の方々は、自前の草刈り機で水路脇に生えている草を手際よく刈っていきました。隊員たちはそのあとにつづいて、鎌や鍬を使って水路に入りこんだ草や土砂を掻き出していきます。このイデは「田代イデ」と言い、年に2回ほど田代イデを利用する農家が集まって整備しているそうです。イデは稲作をする上で大事な灌漑施設であり、イデ浚いは田んぼに水を行き亘らせるために欠かせない作業です。昼前までに、1.5km程あるイデのほとんどの掃除を終えました。想像以上に重労働で、隊員からは「この作業をいつも8人でやっているのか」と驚きの声があがっていました。

昼食後、現地での第1回棚田ワークショップを行いました。集落を歩きながら天満隊長に棚田の水利システムについて解説してもらいました。イデや竹樋などの仕組みや、それによってつくり出される風景についてのお話がありました。

午後からは、谷川の上を渡している鉄橋部分の工事が行われました。水害により谷川を横切っていたイデが流されたため、農家の方々で仮設の鉄橋を設置したのですが、水の流れが悪かったそうです。そこで、鉄橋の中に通していたパイプの代わりにガルバリウム鋼板を差し込み、流れを改善することになりました。重機が入れるような場所ではないため、工事はすべて手作業で行われました。イデ沿いに歩いてガルバリウム鋼板を運び、足場の悪い鉄橋の上に乗って、慎重に工事が進められました。隊員は、田んぼに水を引くために、命懸けで工事にあたる農家の方々を目の当たりにし、イデに水を流すことがいかに大変な作業なのか実感しました。

鉄橋の工事に加え、昨年補助的に使っていた谷川から水を取るためのパイプを、隊員も手伝って再設置しました。ところがこれも、パイプが波打っていたり繋ぎ目から漏れていたりしてうまく流れていきません。何度かやり直して、やっとの思いで水が流れはじめ、喜ぶ隊員たちを見て農家の方々も嬉しそうにしていました。

今回は、「イデ浚い」を通して、田んぼの水を確保するためには大変な苦労があることを学びました。イデの掃除から工事まで一日掛かりで行われましたが、熊抱さんは、これでもすべての田んぼへ十分に水が行き亘るのかわからないとおっしゃっていました。改めて水害の被害の大きさ、棚田を維持していくことの難しさを感じました。

レポーター:赤司小夢(九州大学菊地研究室)

140518-2

140518-3

140518-4

140518-5

 

 第4回活動記録←                                    →第6回活動記録