9月28日、棚田まなび隊の第13回の活動が行われました。田んぼ全体がすっかり黄金色に染まり、待ちに待った稲刈りの日です。
田んぼの持ち主の熊抱さんは、必ず隊員の集合時間前に田んぼへ向かいます。この日も早めに田んぼへ向かい、稲刈りの下準備として稲穂に付いた朝露を払い落としていました。
公民館に隊員が集まり、天満隊長に一日の流れを聞いて田んぼへ向かうと、まずはイノシシ対策に設置していた電柵を外しました。その後、掛け干しのための稲の束ね方を教わりました。藁を3本ほど、紐のように使って稲の根本付近を縛り、束を作っていきます。「掛け干しをするとお米の味が良くなる」と、地域の方がおっしゃっていました。
稲の束ね方を学んだ隊員たちは1枚目の田んぼへ入り、まずは手刈りで稲を収穫していきました。地域の方の後を追うように、それぞれのペースで前へ進んでいきます。1株の稲の量には多少ばらつきがありましたが、およそ8株をまとめてひとつに束ねました。
作業が進み田んぼにスペースができると、稲刈りと同時進行で掛け干し用の竿を組みました。稲の束が竿全体に掛けられると総重量は結構大きくなるため、倒れないように支柱の足を最初でバランス良く配置することが大切だそうです。午前中で1枚目の田んぼの稲刈りと掛け干しが完了し、「お昼休みにしましょう」と、天満隊長が呼びかけると、皆は田んぼのそばに立てたテントに集まって昼ご飯を食べました。隊員の自前のミニコンロでお湯を湧かして食後のコーヒーを飲んだりしながら、午後の活動に向けてゆっくりと休息をとりました。
2枚目の田んぼでは、バインダーを使って収穫していきました。これは、いつもまなび隊の活動をサポートしてくださる地元の米川さんが準備してくださったもので、稲を刈り取って同時に束ねる機械です。そのため、1枚目の田んぼのように手作業で稲を束ねる必要がありません。隊員たちは代わる代わるバインダーの運転を体験しました。ゆっくりと前に進む運転手の後ろに人が付いて歩きながら、バインダーが取りこぼした落ち穂を拾い上げていきます。手刈りに比べとても効率的ですが、バインダーは全ての稲を刈れる訳ではなく、田んぼの隅部分の稲は手刈りをします。
この日は、15時ごろに全ての作業を終えることができました。
まなび隊の活動も今回で13回目となりました。もともと水害で耕作できなくなった田んぼの土砂出しから始まり、田起こし、イデ浚い、畦塗り、苗の育成まで、農作業の様々なプロセスを体験してきました。今日の稲刈りはその集大成のようなもので、活動後に掛け干された稲穂を眺める隊員の表情は、どこか達成感に満ちたものがありました。
レポーター:前野眞平(九州大学菊地研究室)