2014年9月15日に、第2回動画教室をうきは市民センターで行いました。
講師である宇山理穂先生は、青山学院大学を卒業後、NHKに入局。報道カメラマンとして国内外のニュース取材、及び「NHKスペシャル」や「クローズアップ現代」等の番組の取材、撮影に携わられ、九州写真記者協会 映像コンクールでは企画賞を、また翌年には大賞(グランプリ)、と二年連続受賞されるなど、優れた技術をお持ちです。
退社後はWEBデザインも手がけ、個人の依頼に対しての映像撮影、動画製作、WEB管理等をされています。
宇山先生のお話は、以下のような内容でした。
自己紹介
・子どもの頃からマスコミで働きたい、海外に行ってその様子を伝えたいと思っていたが、もともとカメラマン志望ではなかった。テレビ局を数社受け、そのうちの1社の面接で、カメラマンに向いていると言われた。NHKにはカメラマンで応募した。
・映像を通して様子を伝える、という立場になったが、カメラに関しては全く初心者で、最初は怒られっぱなしだった。何で怒られているかすらわからなかった。
・実はニュース映像ひとつとっても、テレビの映像はかなり計算されている。今日はそれを伝えたい。
カメラの構え方・三脚の使い方
・右目でファインダーをのぞくが、全体の状況は左目で見ている。全体の中でどこを切り取るか、また自分の安全確保のためにも左目でまわりをしっかり見る。
・水平は必ず確保する。揺れたり斜めになったりすると気持ちの悪い映像になる。足を開いてしっかり固定する。
・ニュース映像など三脚につけたままカメラを運ばざることを得ない場合もあったが、極力きちんと外して運ぶ。
・三脚の手入れも怠らない。機材はどれも高価なものなので大事に。
構図・アングルについて
・フルサイズからクローズアップまで。ずっと同じサイズの構図だと退屈。サイズの変化がメリハリをつけていく。
・何を撮るかによってサイズは変わってくる。うきは市を紹介するならば、全体が見渡せる場所で大ロングの映像、次に象徴するもののアップ、など。
・ハイアングル(俯瞰)の映像は偉そうな映像、アイアングル(水平)は目線、ローアングルで人を撮ると、その人が言っていることに意味がある、という表現になる。
・何を撮るかで構図をよく考える。
・パンニングは多用すると気持ち悪いので、効果的に使う。ゆっくり見せて全体を説明したい時など。
カットの積み重ねについて
・1枚で情報を全て伝えるスチール写真と異なり、映像はいくつかのカットを積み重ねることで情報を伝える。
・カットは映像の流れで切る時と、音で切る時がある。そのため耳でもよく聞いておく。
・伝えたいことに直接関係なくても、全体を分かりやすくしたり、雰囲気を伝えたりするために「インサートカット」と言われる映像を挟む。インタビューとインタビューの間をつなぐために必要になったりする。
・5W1Hを意識し、それらをきちんと伝える映像を撮る。
以上のお話のあと、実際の映像を見ながら、撮影の意図や技法についてご説明いただきました。
何気なく見ていたニュース映像なども、どれひとつとして無駄なカットなどなく、ひとつひとつに意味があることがよく分かりました。
また、浮羽の「たからもの」動画に向けて、次のようなアドバイスをいただきました。
・浮羽をよく理解し、何を伝えたいかをはっきりさせる。
・ひとりよがりの映像にならないように、撮影するときには、入り込んでいる自分と俯瞰の自分を常に持っておく。
・浮羽はどんな町か、よく取材する。棚田、フルーツ?浮羽のイメージをどういう切り口で映像を見せるか考える。ただの街の紹介だとつまらない。
・自分だったらどういう切り口で紹介したいかを見極める。浮羽のきれいな映像は昔からいろんな人がたくさん撮ってきた。遠くに住んでいる人にも浮羽に行ってみたいと思わせる面白い切り口を見つける。
・自分でしか取れない映像を撮るためには、まず、人が撮った映像をたくさん見ること。よく見る、聞く。たくさんの映像を見て、面白いと思ったら、どうやって撮ったか考え、それを目指す。そのワンカットの映像にとても時間がかかっていることがわかるかもしれない。そんな経験が映像に生きてくる。面白い、変わった映像を撮ってみることで目を引く。
・浮羽の映像に関わらず、映像を撮る時は、常に何を伝えるか明確にすること。イメージ映像はひとりよがりになりがち。人に何も伝えられない映像では撮る意味がない。
浮羽の「たからもの」動画の作成に向けて、意欲をたいへん刺激されるお話でした。
宇山先生、たいへん貴重なお話をどうもありがとうございました。