「ハチ蜜の森のお話と蜜ろうキャンドル製作ワークショップ」を実施しました

2015年2月7日に、安藤竜二さんをお招きし、講演会およびワークショップを行いました。

安藤さんは山形県朝日町で蜜ロウキャンドルの工房を営まれる傍ら、地域の自然保護、とりわけ、あさひまちエコミュージアムの運営に深くかかわって来られた方です。
今回はキャンドル製作のワークショップもあり、多くの方が集まられました。
安藤さんのお話は、以下のような内容でした。

〇朝日町エコミュージアムの概要と活動
若いころ、都会へのあこがれが強かった。新しさ便利さの追求におぼれ、東京へ出る機会をうかがっていた・・・先輩に頼まれ渓流釣りを案内した時、まわりの自然に怒られているような気持ちになった。帰りに西沢信雄さんの山小屋に食事に行くと、都会から多くの方々が訪れていて驚いた。翌日、怒られた気持ちを確かめたくてもう一度川原に行くと、自然で遊んだあったかい思い出が甦って目からうろこが落ちた。
「自分の未来への扉は、東京ではなくココにあった」という認識につながり、「自然の中で生きる」意味を感じ、この活動に入った。そのころ(27年前)は、拡大造林事業で、広葉樹が杉林に変わっていった、高規格林道造成が行われ開発が進み、砂防ダムが乱立していった、都会のゴミが田舎へ運ばれてくる時代だった。

自然保護活動とは別に、エコミュージアムの研究を進めた。
1つ1つに光を当てているうちに、自然だけでない朝日町全体に愛着が生まれ、益々地元の良さを残していこうという気持ちになった。

朝日町は、住民一人一人が学芸員を目指している。
聞き書きによって、意識が高まり、地域資源を見直すことにつながっている。

◆エコミュージアムの定義
地域社会の内発的・持続的な発展に寄与することを目的に、一定の地域において、住民の参加により、環境と人との関わりを探る活動としくみである。

◆エコミュージアムの3つの役割
学校/地域の人が地域を学ぶための学校である。
研究所/地域の人が地域のことを考える研究所である。
保全機関/地域の自然遺産、文化遺産、産業遺産などの保護と育成のセンターになる。

◆朝日町エコミュージアム基本構想
エコミュージアムは、朝日町町民にとって見学者であると同時に出演者であり、町はまるごと博物館になり、住民は誰でも学芸員になる。
→従来の博物館は、保存型過去指向博物館。エコミュージアムは生活型未来指向博物館といえる。
◆シグリット・ウィルヘルムソンの言葉
「エコミュージアム自身は何物も所有しないし、何物も新たにつくらない。つくるのは地域住民。」
◆ジョン・キナード・ピエール・メランの言葉
「エコミュージアムは触媒の役割。エコミュージアム自身は変化しないが、他者が自ら変革することを促す力を持つ。」

〇ワークショップ 蜜ロウキャンドルづくり
◆蜜ろうそくの秘密
・”蜜”の字には虫がいる。”密”とは違うので注意。秘密は山に隠す?
・ハチは花を飛び回り、蜜を集め、巣を作って子どもを育てている。
・蜜ロウは、ミツバチが身体の中で作っている巣の材料。繊維を集めて巣をつくるハチもおり、それらは蜜ロウにはならない。
・パラフィンなどのロウソクと違い、蜜ロウは食べられる。リップクリームや口紅、お菓子のカヌレの材料にも使われる安全なもの。
・近年、ハチミツが減っていることが問題になっているが、それは農薬の傾向が変わったことが大きい。最近の農薬は虫の中枢神経に作用するため、ハチがフラフラになって巣を作り、子育てをしている。今後も状況が悪化していく恐れがある。
・山形の原生林を中心に原料を集めている。

◆キャンドル製作
・ロウをお湯で柔らかくし、芯を入れてロウソクにする。
・芯と周りのロウとのバランスで、うまく溶けていかなくなるので、気を付けて。
・安藤さんにバーナーで仕上げをしていただき、完成。

講演および製作の様子はこちら→PDF(1.5Mb)

安藤さん、素晴らしい講演と楽しいワークショップをどうもありがとうございました。

レポーター・写真:樋口秀吉(うきは市企画課)